がん幹細胞は腫瘍創始能と治療耐性を併せ持つごく少数の未分化がん細胞集団であり、不可逆的に分化することで、腫瘍の大部分を構成する治療感受性で腫瘍創始能をもたない非がん幹細胞を生じると考えられている。がん幹細胞は治療後再発の要因として注目されており、グリオブラストーマでもがん幹細胞(グリオーマ幹細胞)に対する治療法開発は長期予後改善の鍵を握ると期待されている。本課題では「ヒストンH3リシン27(H3K27)のトリメチル化がグリオーマ幹細胞の分化誘導に促進的に関与する」という我々独自の、従来の常識に照らして逆説的な仮説の検証を試み、もって斬新なグリオーマ幹細胞治療法の開発へと繋げることを目指した。
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