血栓症予防のためにしばしば用いられるヘパリンは、副作用としてヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を起こす場合がある。HITに血栓症を合併すると、致死率は5-20%に及ぶため、早期診断・介入が重要だが、HIT診断のための検査は十分に整備されていない。本研究では、近年我々が開発したリアルタイム血栓モニタリングシステム(T-TAS)を用い、T-TAS上でヘパリン負荷試験を行うことによって、体外でHIT病態をシミュレーションできるかを検討した。その結果、HIT患者の血液にヘパリンを添加すると、血栓形成がむしろ亢進することが示され、本システムがHIT診断の補助判断材料として有用である可能性が示唆された。
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