研究課題/領域番号 |
16K15857
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
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研究分担者 |
高橋 徹 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 准教授 (80324292)
平田 裕美 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (60401585)
岩崎 正則 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (80584614)
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10285463)
角田 聡子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70364156)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口臭症 / 自己臭症 / 心理尺度 |
研究実績の概要 |
仮性口臭症とは口臭測定器により明らかな口臭が検出されないにもかかわらず、口臭を気にする病態をいう。これまで社交不安や自己臭傾向等の心理的背景が病態に影響しているという報告は見られるが、部分的な解析にとどまっており、相互の関係性については把握が難しかった。そこで我々は、複数の心理尺度を用いて、仮性口臭症を取り巻く背景因子を探ることを目的とした。具体的には、1)仮性口臭症:スクリーニングに用いられる慶大式の仮性口臭症指標を用いた(角田ら 2000)、2)公的自己意識、3)社交不安、4)賞賛獲得欲求、5)拒否回避欲求尺度、6)醜形恐怖、および7)自己臭症傾向の8尺度を用いた。 対象は、大学、短大、専門学校等に在籍する 18~24 歳の女子学生1360名とし、自己式質問紙調査を行った。 今回は、仮性口臭症傾向、自己臭傾向および社交不安との関係を中心に解析を行った。仮性口臭症については、13点以下を仮性口臭症傾向が低い群、14~21点を仮性口臭症傾向が高い境界域群、22点以上を仮性口臭症が強く疑われる群の3群に分けた。 その結果、仮性口臭症傾向と自己臭傾向および社交不安との間に有意な関連性が認められた。そこで、ベイジアンネットワークを用いて、それら相互の関係ならびに体臭、腋臭等の身体の臭いを気にする心理傾向との間の関連性を解析した。ベイジアンネットワーク分析の結果、仮性口臭症の原因として社交不安が存在すること、ならびに自己臭傾向の原因として仮性口臭症傾向が存在する等、一部の因果関係が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた心理尺度を用いて質問紙調査を実施し、その成果を学会発表ならびに論文発表につなげることができたと考えている。現在、さらなる分析と考察を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今回、論文発表したのは、質問紙調査で調べた心理尺度のうち一部なので、今後は公的自己意識や拒否回避欲求や対人恐怖(対人不安)等との関連性に焦点を当てた解析を試みる予定である。最終的には臨床の場で用いることのできるプロトタイプの問診票の作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回、質問紙を用いた調査ならびに調査結果の一部を用いて仮性口臭症傾向に関わる因子の特定を行った。しかし、まだ各心理尺度間の関係など全体像を把握する段階になっていないので、次年度さらなる検討を行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の最終目標は、仮性口臭症傾向の背景にある心理因子を特定し、因子間の関係を明らかにすることである。そうした成果を臨床現場で応用するには、プロトタイプの問診票を作成し、実際の患者を対象とした臨床研究が必要となる。口臭検出器(オーラルクロマ)を用いた口臭症の診断も必要となると考えており、それらにかかる経費に研究費を使用する予定である。
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