研究課題
仮性口臭症とは、自己臭症の1つであり、口臭測定器により明らかな口臭が認められないにもかかわらず、口臭を気にする病態をいう。仮性口臭症の罹患率は明確になっていないが、海外での調査によると、約20%という。わが国でも病院や地域の歯科医院等で口臭を主訴とする患者は増加傾向にあるが、明確な診断方法や治療方法が確立しているとは言い難いのが現状である。これまで社交不安や自己臭傾向等との心理的背景が病態に影響しているとの報告は散見されるが、部分的な解析にとどまっており、相互の関係性や因果関係の検討については未だ明らかになっていなかった。そこで我々は、複数の心理尺度を用いて仮性口臭症を取り巻く背景因子を探求することを目的とした。具体的には、1)仮性口臭症:スクリーニングに用いられる慶大式の仮性口臭症指標(角田ら、2000)、2)公的自己意識、3)社交不安、4)賞賛獲得欲求、5)拒否回避欲求尺度、6)醜形恐怖および7)自己臭傾向の8尺度を用いた。調査対象は、大学、短大、専門学校等に在籍する18~24歳の女子学生1360名とし、自己式質問紙調査を実施した。仮性口臭症をスコア値を基に3つに分類し、全身における自己臭、例えば、体臭、足臭、腋臭等との関連性を統計学的に解析した上で、ベイジアンネットワークという統計手法を用いて仮性口臭症ならびに体臭等の自己臭と心理尺度の間の因果関係の推測を行った。その結果、仮性口臭症と自己臭症の原因の1つは、社交不安が存在することが示唆され、その旨をBMC Psychologyに報告した。
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BMC Psychology
巻: 5 ページ: 1-8
10.1186/s40359-017-0176-1
http://www2.kyu-dent.ac.jp/dept/oral-health/index.html