目的:診療所看護の質指標案を作成し、全国の診療所の看護師を対象とした実態調査をおこない、その適用可能性を検討した。 方法:「診療所看護」に関する文献レビューにて26看護文献から「診療所看護」の看護行為を抽出し、項目の関連性や共通性を検討し10要素を導き出した。それをもとに「診療所看護」について、診療所勤務の専門看護師・認定看護師14名に聞き取り調査をおこない、質的記述的分析にて「診療所看護領域と内容、項目」を作成した。診療所勤務の正看護師25名および、専門看護師・認定看護師16名に、作成した「診療所看護領域と内容、項目」についてデルファイ法を用いて2度のアンケート調査を実施した。 結果:「診療所看護領域と内容、項目」は、8実践領域(Ⅰ~Ⅷ)と内容、79看護項目であった。Ⅰ診療所看護師としての基本姿勢10項目、Ⅱ診療所の対象者の看護過程を行う18項目、Ⅲ診療提供を効果的におこなうための看護8項目、Ⅳ診療所マネジメントに関する看護20項目、Ⅴ往診・訪問診療に伴う看護6項目、Ⅵ医療・福祉・教育機関との連携11項目、Ⅶコミュニティナースとしての看護提供3項目、Ⅷ専門職としての自己啓発3項目であった。デルファイ法の2次調査において、正看護師と専門看護師・認定看護師がともに重要度を高く判断した項目は20項目であった。正看護師と専門看護師・認定看護師がともに実施度を高く判断したのは6項目であった。乖離項目数は、正看護師25項目、専門看護師・認定看護師4項目と大きく差が認められた。 結論:「診療所看護領域と内容、項目」に関する重要性と実施性、それらの乖離が明らかになり、本研究結果は診療所看護の教育プログラムに活用できると思われる。
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