研究実績の概要 |
これまでの看護教育においては、失敗させない教育に主眼が置かれていた。しかし、失敗にも階層があり、シミュレーション演習や実習における小さな失敗体験に看護学上の意味が存在するという観点から丁寧に省察することで、失敗体験を成功体験にへと変容させる可能性が広がり、学習を深化させることが期待できる。 本研究は3年計画であるため、平成28年度は学際的観点に立ち、看護学及び看護学以外の文献・書籍の検討を進め、それらの検討結果について和文論文「学びと遊びの原点に迫る-自己・非自己循環の視点から-」(J. of Quality Education, 8, 1-29, 2018)と「創造性リテラシー-自己・非自己循環理論の展開-」(J. of Quality Education, 9, 53-90, 2019)としてまとめた。また、学際的な観点から未来創成学を目指す国際シンポジウムに参加し、“Developing an Educational Methodology based on Learning from Failure”というテーマで発表を行った。 平成29年度は、看護学実習の評価について、看護教員、学生、臨床実習指導者の三者の評価を統合する質的研究を半構成的面接法を用いて行い、精神看護学の教授-学習過程において、言語化されにくく、目にも見えにくい看護援助の意味に新たな価値を置く教育方法に関するモデルを構築した。その成果は、「失敗から学ぶ看護学の教育方法-精神看護学実習に焦点を当ててー」(第14回国際教育学会, 2019)として発表した。 平成30年度から令和元年度にかけては、上記の研究内容を踏まえ、教科書としても使用できる著書の出版を目指し、『未来共創の哲学-自己・非自己循環理論の展開」(言叢社, 2020)を共同研究者と共に発刊した。、
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