Brevibacillus choshinensis NBRC15518、Brevibacillus brevis NBRC100599、およびJCM8970にエタノールを生産するための遺伝子を導入し、いずれも遺伝子が発現することを確認した。エタノール生産遺伝子を導入したNBRC15518株について、グルコースとピルビン酸からのエタノール生産を試みたところ、静置培養をすることでピルビン酸からエタノールが生産可能であることを確かめた。振盪培養ではNAD/NADHの補酵素バランスがNAD過多になるためピルビン酸からのエタノールへの変換が進まないこと、静置培養ではグルコースの代謝が進まないことが原因であると示唆された。また、エタノール生産遺伝子を導入したJCM8970株については、振盪培養でもマンニトールからであればエタノールを生産することがわかった。JCM8970株は元々マンニトールを資化するための異性化酵素を有しており、異性化の段階でNADからのNADHへの変換が起こることでNADHが供給されるためと考えられた。 NBRC15518株に各種セルラーゼ遺伝子を導入し、組換えセルラーゼを分泌させることも試みた。Bacillus属やGeobacillus属が有するアミラーゼ遺伝子のプロモーターやシグナルペプチドが機能することを確かめ、Clostridium属やSaccharophagus属が有するエンド型セルラーゼ、エキソ型セルラーゼを発現、分泌させることに成功した。また、エンド型、エキソ型セルラーゼの作用で生成するセロオリゴ糖を分解するためのβグルコシダーゼについては、Bacillus subtilisが有するペプチダーゼのシグナルペプチドとThermoanaerobacter brockiiが有するβグルコシダーゼの遺伝子を組み合わせて導入することで分泌させることに成功した。
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