| 研究課題/領域番号 |
16K16235
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| 研究機関 | 東京農工大学 |
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研究代表者 |
澤 佳成 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70610632)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 合意形成 / 地域的公共圏の創造 / 自由民主主義 / ガバナンス / 公害 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまで合意形成が困難とされてきた原子力関連施設を有する地域に焦点をあて、賛成・反対の対立を越えた合意形成をなしうる公共圏の形成が可能かどうかについて探求することである。平成30年度は、以下の通り研究の成果を公表した。
（１）学会研究大会分科会での報告：唯物論研究協会第41回研究大会の第3分科会「地域をつくる――学習・つながり・仲間」（2018年10月21日開催）において、「地域的な議論空間の成立可能性について考える――困難な課題を抱える青森県下北半島を事例に」と題する指定報告を行った。
（２）研究会での指定報告：市民が多く参加する文明フォーラム＠北多摩第17回研究会において、「どうすれば、脱原発の未来は実現できるだろうか？――原子力関連施設立地地域の人びとの思いから考える」と題する指定報告を行った。
（３）論文の発表：本研究を申請するきっかけとなった民主教育研究所の調査について、その7年間の特集（下北半島の未来を紡ぐ―地域、教育、民主主義―）が組まれた『民主教育研究所年報2017』（第18号）において、「地域における民主的対話の基盤に関する探求――反原発運動者による反省の論理と倫理に着目して」（民主教育研究所年報2017pp.115-128）を執筆した。
以上の研究から、地域のなかで住民自身が語らいながら未来の方向性を探っていく場を構築するにはどのような視点が必要かという点について、他の研究分野の研究者との意見交換、市民の目線からの意見をふまえつつ、思想的に探究することができた。また、論考の発表により、研究の成果をひろく社会に発信することができた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究3年目となった平成30年度は、おおむね当初の研究計画どおりに研究を進めることができた。以下、進捗状況について４つの側面から報告する。
（１）ヒアリング調査の実施：2017年度は、青森県下北半島の地域状況との比較研究を行うため、新たな地域での調査を開始するとしたが、年度末にようやく新潟県旧巻町（原発建設の住民投票を初めて実施した町）で調査を開始するにとどまった。しかし、2018年度は、新潟県旧巻町の2回目の調査に加え、茨城県東海村（東海原発および各種原子力研究機関や企業が集中する村）での調査を開始することができた。その結果、賛成・反対どちらの立場であっても「地域愛」があり、「生活世界」を守るという点で共通の基盤があるのではないかという本研究の仮説を補強する地域の方がたの考え方に多く触れることができた。
（２）資料の収集：2018年から調査を開始した新潟県旧巻町で各戸配布された貴重な資料や歴史資料などを収集することができた。とくに、賛成する側、反対する側双方の配布資料が、年代順にまとめられた貴重な資料を入手できたのは、おおきな成果となった。また、茨城県東海村でも、住民団体の作成したチラシや原子力関連施設の歴史資料などを収集することができた。
（３）学会・研究会・シンポジウム等での研究報告の実施：「研究実績の概要」でも述べた通り、本研究での仮説をもとに考察した研究の成果を、唯物論研究協会第41回研究大会や文明フォーラム＠北多摩第17回研究会で報告し、広く批評を頂くことにより、より精度を高めることができた。また、報告によって成果をひろく公開することができた。
（４）研究成果をまとめた論文の公表：「研究実績の概要」でのべたとおり、これまでの研究の成果を『民主教育研究所年報』の特集論文として執筆し、ひろく公開することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年となる今年度は、これまでの研究における考察や仮説をふまえつつ、本研究の課題についてのさらなる探求を進め、一定程度の結論を得るため、以下のとおり５つの方策をたてて研究を進めていく。
（１）ヒアリング調査の充実：2018年度、新潟県旧巻町や茨城県東海村でのヒアリングを新たに開始することができた結果、これまで原子力関連施設が立地された地域でのみ実施してきたヒアリング調査が、住民の意思で立地されなかった地域でも実施でき、比較検討することが可能になった。本年度はさらなるヒアリング調査を行い、原子力関連施設について、賛成・反対どちらの立場であっても「地域愛」があり、「生活世界」を守るという点で共通の基盤があるのではないかという本研究の仮説を裏付けてゆけるよう努める。
（２）資料の収集：原子力関連施設が立地された地域では、計画が明るみになった段階で、学習活動が行われた歴史を持っている。それゆえ、学習活動に使用された資料の収集に努めてきたが、昨年も本報告書で述べた通り、数十年前に行われた実践であるため、なかなか成果が上がっていない。そこで、今年度も引き続き、そうした歴史的資料の収集を目指す。
（３）学会・研究会などでの研究報告の実施：本課題での調査をふまえた研究の成果について、学会や研究会等での研究報告によって発表し、広く批評を頂くことにより、より考察の精度を高めていけるよう努力する。
（４）研究成果をまとめた論文の公表・最終報告書（冊子）の刊行：これまで進めてきた研究成果をひろく公表するため、学会誌や著書における研究成果の発表を目指す。また、最終年度の本年度は、研究計画でも記してある通り、研究の成果を掲載した最終報告（冊子）を作成し、多くの方に配布することで、研究成果の公開を図る。
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