本研究は、認知症高齢者グループホームにおける居住者間の相互作用に着目し、人的環境と物理的環境の双方を捉える包括的な環境デザインのあり方を探るものである。他の居住者の存在は、居住者にとって非常に大きな環境要素のひとつであり、これに着目する。環境の影響を繊細に受ける認知症高齢者の主観的意味づけを把握するために、少数事例における質的研究方法を採用している。2016年度は、2つの調査を実施した。1つは認知症介護車実践者研修受講者に対する質問紙調査である。調査は3回実施した。合計で239人の受講者から回答を得た。認知症高齢者の生活環境に対する課題、改善点、工夫について、総数1331のデータを得た。これらの分析結果は、第32回国際アルツハイマー病協会国際会議で口頭発表、老年社会科学会でポスター発表を行った。日本福祉のまちづくり学会全国大会では口頭発表予定であったが、体調不良のため、梗概集のみ掲載されている。2つ目は認知症高齢者を含む高齢者が共同生活を営む制度街の住まい、グループリビングにおける実態調査である。2016年度は北海道2件、関東3件、関西3件、2018年度は関東3件、関西3件の調査を実施した。これらの結果は、日本建築学会住宅系論文報告会にて口頭発表を行った。日本建築学会全国大会では口頭発表予定であったが、体調不良のため、梗概集のみ掲載されている。2019年 日本福祉のまちづくり学会での投稿予定である。
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