本研究では,鬼怒川中流域に分布するクレバススプレーが800年前以降の短期間に集中的に形成されたこと,900~4,400 cal BP頃に河川氾濫の少ない時期があったことを示した.これらの知見は,完新世の環境変化に対する河川応答の一事例として,より普遍的なモデル構築にも活用できると考える.また,本研究では,現成の河川氾濫堆積物の特徴を把握し,それを過去に活用することによって,微高地を構成する堆積物から破堤イベントを検出することに成功した.本研究の手法は他地域の堆積物にも応用でき,沖積低地の地形発達史研究に貢献できると考える.
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