本研究は、災害からの生活復興に向けた被災者の意思決定メカニズムの解明を目的とした。本研究の成果は、次の二つである。第一に、災害発生後に生活立て直すにかかわる意思決定過程において、自宅再建・仮設居住等のグループ別に、関心事・課題等の時系列的変化を明らかにしたことである。そして第二に、長期的な生活復興の視野に立った分析により、在宅避難(被災)のグループでは、自力再建を念頭に置いた生活立て直しの意思決定を継続して行う中で、そうした能動的行動が直面する課題解決につながらずに、年月を経て、周囲から見捨てられたという感覚の経験に至っていた状況を明らかにしたことである。
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