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2018 年度 実施状況報告書

超高解像度の地震波トモグラフィを用いた地殻流体マッピングによる地震発生場の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K16381
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

浅森 浩一  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究副主幹 (80421684)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード地震波トモグラフィ / 後続波 / 地震波速度 / 比抵抗 / 地殻流体 / 内陸地震
研究実績の概要

本研究では、浅発地震の後続波を利用した地震波トモグラフィ等によって、日本列島における地殻流体を高い空間分解能でマッピングする。また、これにより得られた詳細な流体分布と内陸地震の分布・発生様式との比較によって両者の相対的位置関係の傾向を見出すことで、地殻流体の分布を指標とした未知の活断層による地震災害リスク評価の可能性を示すことを目的としている。これまでに、浅発地震の後続波到達時刻の読み取りに必要となる後続波の波線追跡・理論走時を精密に計算できるように修正した解析プログラムを準備した。また、これを用いて従来よりも高い精度で波線追跡・理論走時を計算しつつ、地震波到達時刻の再検測を行った。この解析プログラムは、地震波トモグラフィ解析の際に必要となる波線追跡・理論走時の計算にも適用することが可能であり、従来の解析で現れていた偽像の出現を抑えることが可能であると期待できる。また、流体分布と内陸地震の分布・発生様式との関連性の解明に向けて、2014年長野県北部地震(M6.7)等の内陸地震の震源域における地殻の二次元比抵抗構造と、詳細な震源分布や地震波速度構造との比較を行った。その結果、余震分布から推定される震源断層(逆断層)に沿って、その下位に地殻深部を起源とする流体が分布する傾向を見出した。さらに、地殻深部に流体の賦存が認められる群発地震の活動域等を事例とした地殻変動シミュレーションにより、内陸地震の発生や断層の形成のほか、局所的な地殻変動場の形成に地殻深部の流体が関与した可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成30年度は、後続波の波線追跡・理論走時計算の精度向上のために修正した解析プログラムを用いて浅発地震に伴う後続波到達時刻の再検測を行い、地震波速度構造を推定することが当初の目標であったが、地震波トモグラフィの解析プログラムにも同様の波線追跡プログラムを組込む必要が生じた。これにより、修正したプログラムの妥当性を確認するための解析等を行ったため、研究の達成状況は遅れていると評価した。一方、流体分布と内陸地震の分布・発生様式との関連性の解明に向けて、過去に発生した正断層型内陸地震の活動について、地殻流体が地殻深部に存在する場合の地殻変動を数値シミュレーションにより検討し、地殻流体が断層や局所的な地殻変動場の形成に関与した可能性を見出した。

今後の研究の推進方策

浅発地震に伴う後続波の精密な到達時刻データを用いた地震波トモグラフィにより、地殻流体のマッピングを従来よりも高い空間分解能の達成を目標として行う。その際、電磁探査等によって各地で推定されている比抵抗構造のほか、地震波トモグラフィによって得られた地震波速度構造から、流体の量や間隙形態を推定する。また、すでに実施した内陸地震の震源域における検討と同様に、地殻流体の分布と内陸地震活動や活断層の分布等との対比をさらに行うことで、両者の相対的位置関係の傾向を見出し、地殻流体を指標とした未知の活断層による地震災害リスク評価の可能性について検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究成果について学会発表を予定していたが、発表登録までに具体的な成果が得られず発表できなかった案件があり、次年度使用額が生じた。令和元年度には、この次年度使用額を国内外の学会で研究成果を発表するための旅費や論文投稿費等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 地殻流体の存在を考慮した地殻変動シミュレーションの試み2018

    • 著者名/発表者名
      渡部 豪、浅森 浩一、奥山 哲、雑賀 敦、梅田 浩司
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018 年大会

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公開日: 2019-12-27  

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