本研究は、脳卒中患者の麻痺側荷重量を増大し、歩行能力を向上させる新たな治療プログラムを開発するために、視野全体の動きが、静的姿勢・歩行に与える影響を調べた。脳卒中患者に対して、スクリーンによる麻痺側方向への視運動性刺激(OKS)により、麻痺側方向への重心偏移が確認された。この方法の確立のため、健常者を対象として、ヘッドマウントディスプレイを用いて、仮想現実空間におけるOKSを提示し、静的姿勢における荷重量偏移の最適条件を調べた。歩行中は、OKS刺激側の立脚時間および荷重量が有意に増大した。本研究から、OKSを用いた方法が新たな治療プログラムとなる可能性を強く示唆するものとなった。
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