本研究では鼠径周辺部痛の危険因子と発生メカニズムの解明に向け、股関節の機能に着目して研究を行った。鼠径周辺部痛を訴えることの多いサッカー選手の股関節内転筋群の筋硬度は利き足側と非利き足側で差が認められ、非対称性の競技特性が筋硬度に影響する可能性を示唆した。鼠径周辺部痛を発症した群は非発症群と比較して股関節内転筋力と外転筋力が有意に低く、股関節安定化をはかる筋群の筋力低下が発生要因の一つと考えられた。鼠径周辺部痛のリハビリテーションや予防として行われる身体の対角線上の動きであるクロスモーション動作を解析した結果、骨盤の可動性に効果的であり、股関節への負荷が減少する可能性を示唆した。
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