研究課題
若手研究(B)
本研究は、19世紀後半に現れた、月経周期に沿った生理的な変動すなわち<女性のリズム>という考え方の受容と展開に関する歴史の日米比較を行うことを目的として遂行した。米国では1930年代に「リズム」という言葉が荻野式避妊法を指す言葉として使用され、宗教や法律とかかわって産児調節運動に多大な影響を与えた。一方日本では荻野式避妊法は宗教的な意味合いはほとんど重視されなかったことが明らかになった。
科学とジェンダー、科学史、医学史
本研究の学術的意義は、荻野式避妊法の日米における受容について取り組み、これまでほとんど研究がなされてこなかった双方の社会の産児調節やその運動の歴史の側面を描きだしたことにある。産児調節運動の歴史に関する研究は、中心に取り上げられてきた人物たちが荻野式避妊法を拒絶していたことからか、これまで深く立ち入って研究されることがなかった。しかし実際はカトリック教徒のみならず多くの人が荻野式避妊法に関心を寄せた事実があり、特に米国では国家や教会を巻き込んだ論争を起こしていたことを明らかにした。