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2018 年度 実績報告書

中期インド語文学から近代諸語文学への移行におけるジャイナ教聖者伝とラーソー文学

研究課題

研究課題/領域番号 16K16696
研究機関北海道科学大学

研究代表者

山畑 倫志  北海道科学大学, 全学共通教育部, 准教授 (00528234)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードジャイナ教聖者伝 / ラーソー文学 / ラーマ / クリシュナ / ネーミナータ / アパブランシャ語 / 古グジャラート語 / 聖地文学
研究実績の概要

本課題の最終年度である今年度はまず、ジャイナ教聖者伝とラーソー文学をつなぐ重要なキャラクターであるクリシュナとラーマについて考察した。ジャイナ教説話においてラーマ物語とクリシュナ物語は大きな部分を占める。クリシュナは比較的早い時期からネーミナータと関係づけられており、また説話内ではネーミナータの下位に位置づけられてきた。クリシュナは殺生の罪を犯し地獄に転生する役割を負っており、祖師たるネーミナータとの対比が意図されていると推測される。
それに対し、ラーマ物語は祖師などの他の偉人との関係が希薄であり、比較的独立性が強い。ジャイナ説話の主たる構成として祖師と転輪聖王のような出家者と世俗の対比があるが、ラーマ物語にはネーミナータのような出家側の重要人物がいないため、ラーマを出家側に配置する必要があったものと推測される。
また、同時期に現れる聖地文学についても考察した。現在、北インド西部のジャイナ教聖地としてはギルナール山やシャトルンジャヤ山、アーブー山が代表的であるが、その主要寺院は11~12世紀以降に建立されている。同時期のこの地域の文学作品の特徴として、地域言語使用の活発化、ラーソーなどの新たな文学の流行、そして聖地文学の登場があげられる。ジャイナ教の聖地信仰の伝統はあまり古い時代に遡ることはできない。ギルナール山はジャイナ教聖典でネーミナータとの関係が確認できるが、ネーミナータ寺院の建立は12世紀である。その背景として同地域におけるクリシュナ信仰の広がりも考えられる。この時期は北インド西部が政治的に大きな変化を被った時期に当たる。そのためジャイナ教団にも少なくない影響があったと推測されるが、それを直接的に示す記述は当時の文献には見られない。そこで聖地文学の出現をクリシュナ信仰の広がりと政治的背景の2つの視点から検討した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] ジャイナ教における六十三偉人の形成とラーマ説話の関係2018

    • 著者名/発表者名
      山畑倫志
    • 雑誌名

      印度學佛教學研究

      巻: 67(1) ページ: 494-488

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ジャイナ教聖者伝の展開と人間観の変容2018

    • 著者名/発表者名
      山畑倫志
    • 雑誌名

      日本佛教學會年報

      巻: 83 ページ: 90-109

    • 査読あり
  • [学会発表] 中世ジャイナ教における聖地信仰の形成2018

    • 著者名/発表者名
      山畑倫志
    • 学会等名
      日本南アジア学会30周年記念シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 初期グジャラート語文学の記述から見るジャイナ教の聖地2018

    • 著者名/発表者名
      山畑倫志
    • 学会等名
      ジャイナ教国際研究ワークショップ:ジャイナ教研究の諸相
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ジャイナ教における六十三偉人の形成とラーマ説話の関係2018

    • 著者名/発表者名
      山畑倫志
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会第69回学術大会
  • [学会発表] Connection of Old Gujarati Literature with Jain Carita ― Capturing Krishna tales and its effect2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki YAMAHATA
    • 学会等名
      18th World Sanskrit Conference
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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