本研究は、15世紀にローマおよびフィレンツェで制作された6つの壁画を対象に、各作例の特異な図像表現や画面構成が当時担っていた意味について考察し、それらを画家同士もしくは壁画を所有する托鉢修道会間の競合意識と結びつけることで、従来個別に考察されてきた芸術事業の関連性について多くの新知見を国内外の場で提示した。なかでも、本研究の一部をまとめ、ローマで出版した自著 Le cappelle Bufalini e Carafa (Campisano Editore, 2019)が、アジア圏からは初となる第61回「ダリア・ボルゲーゼ賞」(2022年)に選ばれたことを最大の成果として挙げたい。
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