令和元年度は、研究の最終年度として、①日本国内における舞台芸術手話通訳の視察調査の成果報告、②舞台芸術活動に特化した手話通訳技術に関する研修プログラムの作成、③②を実場面で活用し、プログラムの改良を図る、の3点に取り組んだ。 ①については、視察調査の結果から、舞台手話通訳の実施パターンを作品への関与度、通訳担当者の人数や分担、立ち位置・動き方の視点から分析・分類し、日本手話通訳学会にて発表した。作品への関与度によって大きく2つに分けられ、関与度が高いものを「内包型」、低いものを「額縁型」とし、特に内包型は作品の世界観を壊さずにより自然な形で手話通訳を行うことができることから、今後の広がりが期待されるところである。 また②③については、特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークの協力を得ながら、舞台手話通訳養成・研修プログラムの作成に取り組んだ。さらに作成したプログラムを同団体が主催した舞台手話通訳養成講座(平成30年度、令和元年度開催)の一部で実践し、講師ならびに参加者からのフィードバックを受けて、さらに改良を加えた。実践の様子については、第52回全国手話通訳問題研究集会にて発表した。
|