研究課題/領域番号 |
16K16753
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
仁井田 千絵 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (40634548)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パフォーマンス / 表象 / メディア / ライブ性 / 音響 / 映画館 |
研究実績の概要 |
視聴覚メディアによるパフォーマンスの表象研究を行うにあたり、2017年度は「音響」と「劇場」という2つのキーワードから研究を行った。 (1)写真や映像など、視覚メディアによるパフォーマンスの表象研究については多くの研究があるのに対し、録音や映画サウンドといった音響メディアからのアプローチはまだ少ない状況である。本研究では、これまでの視覚メディアに関する研究に、音響メディア側からの研究を付き合わせることを目標として、両者をまたぐ理論的枠組みを検証した。2017年7月に開催された表象文化論学会第12回大会では、パネル「映画をきく―スタジオ・システム崩壊までの日本映画の音楽」にコメンテーターとして参加し、上記の点を問題提起した他、パネリストの映画音響、音楽学の研究者と意見交換を行った。 (2)パフォーマンスの表象研究を行うにあたり、メディアに表象されたテクストの分析のみならず、それが受容されていたコンテクスト、場に関する研究も、今日のメディア表象の多様性を考える上で重要である。本研究では、「ライブ・ビューイング」といった昨今のパフォーマンスの受容のあり方を歴史化する試みとして、戦前の映画館におけるライブ・パフォーマンスと映像上映のコンビネーションの実践に着目した。2017年11月には、神戸映画資料館で開催された早稲田大学演劇映像学連携研究拠点主催シンポジウム「映画館研究の現状と将来」において、昭和初期の東京の映画館にみられたライブ/メディアの共存とその関係性の変化について、近代性というテーマから研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度に引き続きパフォーマンスの表象研究に関する理論的土台を固めたことと、日本における事例の考察によって日米比較研究を行ったことについては成果があったが、日本の事例研究に時間をとられてしまい、アメリカの事例研究に関する成果発表ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
パフォーマンスのメディア表象とライブ性に関する論文執筆を進める予定である。また、秋学期には早稲田大学演劇映像学連携研究拠点主催の韓国で行われる国際会議、学期末にはアメリカの映画・メディア学会(SCMS)の大会に参加することにより、国外の研究者と意見交換を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)海外出張を行うことができなかったため。 (使用計画)国際会議参加のための出張費にあてる。
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