ブロンテ姉妹と1945年以降の英国女性文学

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K16784
• 研究機関: 富山大学
• 研究代表者: 小田 夕香理 富山大学, 芸術文化学部, 講師 (70511880)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: ブロンテ / 英文学 / 女性文学 / 20世紀 / ヴィクトリア朝

研究実績の概要

29年度は、産前産後・育児休業に入って研究を中断したため、計画通りに研究を進めることはできなかったが、28年度に立て直した研究計画をもとに下記のように作業を進めた。
1945年以降のブロンテ姉妹に関連する英国女性作家の作品について、28年度に把握できなかった作品がないか、また新しく発表された作品がないかどうかを、文献・資料をもとに確認する作業を行い、研究対象とすべき作品の追加や見直しを行った。また、28年度の作品選定作業の結果、シャーロット・ブロンテの作品から分析作業に着手していたが、29年度も引き続きこの作業を進め、それらの作品の分析に必要な文献と、19世紀・20世紀英国文学・社会に関する文献を収集し、それらの分析に着手した。
また、日本ブロンテ協会の2015年大会で発表した、シャーロットの『ジェイン・エア』と、アニータ・ブルックナーの『秋のホテル』（1984）の比較考察の発表原稿を、新たな資料を交えて再検討し、加筆・修正を施して論文にまとめる作業を行った。この論文は30年度に出版される論文集に収録される予定である。ブルックナーは現代の英国を代表する女性作家の一人であり、『秋のホテル』は『ジェイン・エア』との関連性から考えても本研究にとって重要な作品であるため、これら二作品をさらに掘り下げて比較考察できたことは有益であった。また、この作業によって、1945年以降の英国の女性作家がシャーロットの作品をどのように受けとめ、それを自らの作品に用いることで何を表そうとするのかについて考察を深めることもできた。28年度にマーガレット・ドラブルを取り上げた際、ドラブルとブルックナーの作品に共通点が見出されたが、再度『秋のホテル』を考察したことにより、これら二人の作品の比較考察が本研究に有益であることも明らかになった。今後の研究に取り入れる予定である。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

年度の途中から産前産後・育児休業のため研究を中断したため、遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

29年度に中断した作業（シャーロットの作品の分析と、研究対象とする作品の見直し・追加、作品分析に必要な資料の収集・分析）を再開するところから研究を進める。
研究再開後は、学会等に参加して参考資料の収集・成果発を行うことも予定している。

次年度使用額が生じた理由

産前産後の休暇及び育児休業のために研究を中断したため、また、研究中断までの期間は、体調を鑑みて学会出張等を見送ったため、次年度使用額が生じた。
使用計画としては、研究を再開する際に、選定した作品の分析のための文献・資料を入手するとともに、選定した作品の作家が発表した、選定作品以外の作品に関する文献・資料を入手する。ブロンテ姉妹の作品、19・20世紀英国の文学と社会について理解を深めるための文献・資料も入手する。加えて、学会等で情報収集、成果発表を行うための旅費としても使用する。