本研究では、共同研究および研究者のネットワークの構築と強化を重点に置きながら、まず、レオン・ド・ロニーの活動と業績に関する研究を進めることができた。加えて、ロニーという人物に限らず、幕末・明治初期の日仏交流史に関する研究も大いに進めることができた。 1)博士論文(2012年)で取り上げた研究課題の一つ、「ロニーにおける仏教の受容」について、発表および共著(分担執筆)で公開を行った。2) ロニーの曾孫2名の協力を得て、彼らと鼎談を行い、日仏両言語で発表した。3) また、ロニーの曽孫が管理している未公開資料の調査においても協力が得られた。同未公開資料の中に、ロニーが所有していた浮世絵やジョルジュ・ビゴーの風刺絵など日本に関する絵を発見した。これらは今後のロニー研究に大いに役立つものであると言える。4)国際共同研究強化の側面では、フランスにおけるロニー研究の拠点であるリール第三大学の共同研究プロジェクトに、書籍の分担執筆者として参加した。また、フランスの研究誌にて日仏文化交流史の特集を企画し、責任編集した。自分の研究論文に加えて、日本人の研究者4名に協力を依頼し、福沢諭吉やパリ万国博覧会など、日仏交流史に関する日本人研究者の研究論をフランス語で紹介した。
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