研究課題/領域番号 |
16K17036
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
橋本 有生 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (90633470)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 成年者の面会交流 / 後見人の役割 / 自由の剥奪 / 障害者権利条約14条 |
研究実績の概要 |
計画の積み残しである【課題A】イギリスへの現地調査が難しい中、【課題C】日本法の研究において進展があった。日本において、近時、判断能力が不十分な成年者に対して医療やケアを実施する者が、当該者に対して面会制限を行う事案が散見される。そのような制限が恣意的に行われることは、障害者権利条約の14条に示される自由の剥奪に他ならない。面会制限が適法に行われるためには、周囲の者(特に後見開始の審判がなされている者については後見人)がどのような手続きを踏まなければならないのか、ということを主眼に考察を行った。 現行法の下では、成年被後見人等との面会交流において周囲の者の間で紛争が生じた際、①家庭裁判所の諸手続き、②不法行為に基づく損害賠償請求及び③面会を求める者が自己の面会交流権を被保全債権とする保全処分の申し立てが用いられる。①の家裁の手続きとはたとえば親族関係調整の調停や扶養に関する調停等が考えられ、②や③の訴訟手続きに比べて紛争解決の実効性には乏しいが、当事者間の協議で解決を図る途を開く点に特徴がある。そのような話し合いでは決着がつかない場合は、不当に面会交流権が侵害されたとして、②の不法行為に基づく損害賠償請求を求めたり、③の保全処分の申し立てることが一つの解決手段として提示されよう。いずれの申し立てについても、裁判所で認められたことがあり、人身保護請求に比べて認容率が高く実効性を有する。また、後見が開始されている場合、この種の事件が生じたときは、被後見人に判断能力が有るか無いかを問わず、成年後見人は交流について支援を行う責務がある。上記①から③の手続き及び後見人の詳しい責任の内容については、すでに原稿にまとめてあり、2021年の9月に刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
他の課題については当初の研究計画において掲げた目標をおおむね達成しているが、【課題A】についてイギリスへの現地調査が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
イギリスへの現地調査の結果を踏まえ、これまでの研究から得られた成果に基づき、立法モデルの提示と当該立法を実現するために必要な具体的提言を検討し、これを論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
イギリスでの現地調査のための渡航費として残しています。
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