本研究は次の二点において貢献できたと考えている。第1に、交渉戦術としての国民投投票には、(1)批准の際に国民投票を行うと明言して妥協を引き出そうとする使い方、(2)国民投票を行わないと約束して、その代わりに妥協を引き出そうとする使い方、(3)EUの決定への抵抗としての使い方、があることを明らかにした点である。第2に、EUの中では一種の仲間意識が発達しており、その環境の下、国民投票を行わないことを約束すると、他のアクターにも受け入れられるため、戦術としての効果を発揮しやすく、他方、国民投票を行うこと明言する場合は、反発を引き起こす戦術であるため、効果がでにくいことを経験的に示した点である。
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