研究課題
若手研究(B)
日本銀行は資産価格バブル経済の崩壊とリーマン・ショック後の国内経済を立て直すために、1999年以降低金利の下で流動性の拡大を図ってきた。こうした政策は非伝統的金融政策と称されている。本研究では、日本銀行が非伝統的金融政策を実施したことで所得や消費に対して格差を生んだかどうかを検証した。得られた結果は次になる。(1)日本銀行が非伝統的金融緩和政策を実行したことで、所得不平等が高まったことは確認されなかった。(2)日本銀行がマネタリーベースを増加したことで、低所得層と高所得層の所得と食費に対して影響を与えていることは確認されなかった。
金融政策
本研究では金融政策と所得や消費に対する不平等の関係について研究を行った。この研究を開始した時期には、トマ・ピケティ著の書籍が日本語に翻訳され (『21世紀の資本』, 2014)、日本においても所得や資産に関する格差問題に注目が集まっていた。また、アベノミクスの3本の矢の一つである「大胆な金融政策」が実施されていた。本研究では非伝統的金融政策と所得・消費格差の関係に着目をし、その関係について一定の見解を示した。