本研究では、戦略的管理会計の視点からサプライチェーンにおけるリスクへの対応及び評価について明らかにすることを目的としている。延長により最終年度となった令和3年度は、コロナ禍における企業行動の分析を中心的なテーマに据えて研究を行った。 新型コロナウイルスの影響もあり期間延長申請を行っていたが、感染症拡大による影響もまた災害と類似性のあるリスクであり、本課題の対象であると捉えて研究調査を進めた。これまで行ってきた研究では主として製造業、特に最終製品のメーカーを対象としてきたが、今年度はコロナ禍による影響の大きさ、また物流という側面も含まれることを考慮し航空業界を調査対象とした。 航空業界では、購買者の価格に対する反応を予測しつつ在庫を最適化し、最大の収益を生み出すレベニューマネジメントが広く実施されている。これを踏まえた上で日本の大手航空会社2社の公表資料を中心に検討した結果、収益最大化に向けた柔軟な対応、リスクの分類とそのマネジメント方法および優先度の設定、事業構造改革を含むアフターコロナを見据えたビジネスモデルの構築などの取り組みがなされていることが明らかとなった。 なお、研究結果は2021年8月末に同志社大学で実施された日本原価計算研究学会第47回全国大会にてオンラインで報告した。また日本組織会計学会が編纂する英文書シリーズのひとつの章として執筆しており、2022年度中に出版予定である。
|