本研究課題は,主に大学生を対象とし,アルバイト就労に伴う疲労の蓄積や短い睡眠時間が健康状態や修学に対してどのような影響を及ぼしうるかを明らかにすることであった。 最終年度においては,昨年度までに実施した研究の解析および研究成果の報告を中心に行った。Webパネル調査を用いた研究では,日勤・夜勤に従事する大学生を比較し,どのような要因が修学リスクを高めるかを解析した。その結果,「夜勤への従事」および「5時間以下の睡眠時間」が主たるリスク要因であることが示された。また,2週間を調査期間とした14時点に及ぶ短期縦断調査を実施した結果,睡眠時間の短さが疲労を高め,深夜業と疲労との共変関係を睡眠の質が強め,睡眠の量が弱めることが明らかとされた。 これまでの研究成果と併せて考察すると,抑うつに対しては職場の人間関係などが主なリスク要因となる一方で,身体的健康や疲労には労働時間や深夜業,睡眠時間の短縮がリスク要因となることが示唆された。また,大学生等と同年代の若年労働者とを比較すると,健康状態や疲労状態に差が見られないことなども明らかにされた。これらの結果から,大学生においても,一般労働者と同じく,「労働」による疲労の蓄積は見られ,疲労や短時間睡眠によって健康・学業支障のリスクとなりうることが考えられた。
|