高島幸太先生との共同研究,豊田秀樹先生との共同研究等を通じて,自由記述型の授業評価アンケートを分析するための方法論を提案することができた。具体的には,前者については外国語教育の分野において,教員が何を重視し,また受講生が何を求めているのかをまとめる際に,捕獲率を用いた意見収集の飽和の程度に関する示唆を得ることができた。学生が大学における第二外国語教育を受けるとき,将来の職業に活かしたいと思っている者や,旅行に役立つ情報を欲しい者がいるなど様々な希望を抱えている状況がある。これらを個々のサブグループとして想定した際に,そこに所属する協力者から得られた自由記述に対する,知見の飽和度の指標である捕獲率の計算を行うための方法論の提案を行った。また,その応用として,実際の私立大学における第二外国語の受講生に対して,学生が何を望んでいるのかの調査,分析を行った。その際には,大学で中国語,ドイツ語,スペイン語,フランス語,朝鮮語といった第二外国語を履修する62 名の自由記述型の質問項目の回答を用いて,捕獲率による知見の収集率の確認と,得られた知見の吟味,考察を行った。その結果,(1) 実用的な授業,(2) 学習者にとって困難な点の把握,(3) コース設計に対する考慮の重要性が明らかになった。この試みにより,留学や仕事で外国語の使用を志望していない学生でも実用性を求めていることが確認された。また,2番目の研究では,新しい捕獲率の提案として,1問1答形式の質問に特化した分析手法の考案に貢献することができた。
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