本研究は,調査・実験・介入研究といった様々な手法から完全主義認知における不安増強・低減プロセスの検証を行うことである。調査研究においては,完全主義認知を強く持ちながらも,自己の失敗を肯定的に捉えられる信念を持っていることが,ネガティブ指標の低減およびポジティブ指標の増強につながることが示唆された。実験研究では,完全主義的認知が強い人々においては,失敗経験後における対処方法として不安をそのままにしておく自己教示方法がよりフィットしているとの示唆が得られた。 ただ一方で介入研究では明確な効果は得られず,本研究全体を通して完全主義認知の変化には多様かつ継続的な支援が必要になることが推測された。
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