研究課題
平成31年度(令和元年度)は,従来型の認知行動療法とマインドルネス介入の無作為化比較試験を実施した。いずれの介入も5名程度の集団形式で行われ,マニュアルに基づき90分×5セッションから構成されるプログラムである。閾値下うつ病の基準を満たす大学生33名(平均年齢19.06歳,標準偏差1.27歳)を対象とした。参加者の適格基準は,①18歳以上24歳以下の大学生であること,②CES-Dの得点がカットオフ値である16点以上であること,であった。なお,精神疾患簡易構造化面接法(MINI: 大坪ら, 2003)によって大うつ病性障害,双極性障害,パニック障害,重度の自殺リスクがあると判定された者は除外された。参加者の募集は研究代表者の所属する大学の参加者募集システムを通じて行われ,参加申し込みがあった者に対して構造化面接と質問紙法によるスクリーニングが実施され,基準を満たす者が参加者として登録された。本研究は認知行動療法とマインドフルネス介入の並行群間比較であった。参加者は①従来型の認知行動療法を実施する条件 (Cognitive-Behavioral Therapy:CBT 条件),②マインドフルネス介入を実施する条件 (Mindfulness-Based Intervention:MBI 条件) のいずれかにランダムに割りつけられた。CBT条件14名,MBI条件19名が最終的な分析対象とされた。本研究のプロトコルは「関西学院大学人を対象とする医学系研究倫理委員会」において承認を得ている。主要効果指標である抑うつ症状について時期×条件の交互作用が有意であり,MBI条件と比較してCBT条件の方が,より抑うつ症状の改善が認められた。一方で,副次的な効果指標であるマインドフルネス,脱中心化,反すう,ネガティブ自動思考,ポジティブ自動思考,特性不安に対する効果の差はほとんど認められなかった。
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