本研究の結果を踏まえると、米国では20世紀初頭からシティズンシップ教育の理論レベルでの精緻化が進んでいったが、その目的達成への工夫がなされるほど、実践化に向けた排除性が生まれる懸念があると言える。本研究では、これらの点を歴史的に言及することができた点に学術的な意義があると考える。 一方、これらから示唆されるのは、シティズンシップ教育のカリキュラム開発のプロセスやあり方を誰もがアクセス可能な包摂的なものへとシフトさせていくか、という点である。このについては、教員養成研究や教育評価研究との接点を模索する必要がある。このような今後の展望を示した点に、本研究成果の社会的意義が存在すると考える。
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