本研究は、明治期の小学校教員を対象に、明治期を通じた教職キャリア形成の実態について検討した。その結果、主に3点があきらかになった。1つに、明治期の教員の学習は、任用時に終わるものではなく、任用以降も継続される点にある。2つに、教員の学習を支えたのは師匠(初期は私塾の師匠、中期以降は同じ地域に住む小学校教員)である。多くの教員は、任用前から師匠について学び、任用以降も継続して学んだ。3つに、教員の辞職は教職の専門性を高めるためのキャリア選択という面があった。一定数の教員が、師範学校進学のために辞職するが、卒業後に復職した。
|