平成29年度の研究では、教員の協働を基盤とした同僚性構築を目指した営みにみられる特徴について考察するため、複数の小中学校のフィールド調査を実施した。前年度の研究における学術的研究のレビューより、専門家としての学習集団の形成、集団効力感の重要性が特定されたことから、特に、校内研修を中心とした学校内学習集団形成のプロセスを対象に、参与観察ならびにアクションリサーチを実施した。 その結果、専門家としての良好な学習集団が形成されている学校では、個々の教員が率直に自身の考えや目標・理想を語り合う機会が成立しており、また、そこのでのコミュニケーションには相互尊重のスタイルが重視されていることが特定された。逆に、個々の教員が持論に固執したり、他者の意見に対して受容的でない場合には、その周辺にいる教員も参画することをためらったり避けたりする傾向が見出された。 また、教員評価制度のもとでの自己目標設定や自己評価の営みは、極めて個人的な営みとなっており、そこに他者との協働の要素を取り入れることは困難であることも明らかとなった。そのような現状から、教員評価、学校評価、専門家としての学習集団は、それぞれ独自の論理のもとでそれぞれの営みの質を高めることが現実的であり、それら各々の営みの関連性は、教員の専門的見識を基盤とした個人の営みの中に位置付けていく形でのモデル化が必要であるとの仮説を構築するに至った。 以上の研究成果のうち、フィールド調査から得られた成果は日本教師教育学会にて発表を行い、平成28年度に実施した研究の成果は2本の研究論文として論文化を行った。
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