平成30年度の研究では、教員が自律的に学校づくりに参画する同僚性が構築されつつある学校の校内研修における協働の取り組みを対象に、どのような要素が同僚性構築を支えたり促したりし得るかを考察するため、平成29年度から継続して参与観察ならびにアクション・リサーチを実施した。また、それら自律的学校経営における同僚性の構築に対して、教員評価がどのように位置づき得るのかを検討した。 その結果、自律的な学校づくりの営みにつながる追究が成立する要件に、個々の教員が有する課題意識や理想が率直に交流できる機会が校内のフォーマルな機会として設定されることが有効であり、校内研修の時間がその機会を確保するうえで最も適していることが明らかとなった。また、教員間に自律的な学校経営につながる同僚性が構築されるには、個々の教員が自身の利害にのみ固執するのではなく、他者の意見に対して受容的かつ協働で新たな方策を生み出していく生産的な対話を常に心がけるスタイルが不可欠であると推定され、そのような対話の概念や方法について専門的に学んだり演習を通して理解する機会が必要であり、その意味でも校内研修が極めて重要であることが特定された。 そして教員評価における目標管理において、そういった取り組みに積極的に参加していることが高く価値づけられたり、その必要性を意識できるような面談等の運用がなされることで、自律的学校経営における同僚性の構築が促進されると推定される結果が得られたことから、その具体的な関係性についてモデル化を行った。 以上の研究成果を、九州教育経営学会にて発表を行うとともに、研究論文として論文化を行った。
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