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2018 年度 実施状況報告書

新規学卒採用における「能力」概念の構成――相互行為と社会意識の分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K17414
研究機関東京成徳大学

研究代表者

堤 孝晃  東京成徳大学, 人文学部, 准教授 (10734642)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード面接 / 能力 / 評価 / 採用
研究実績の概要

本研究の目的は、言説上でのみ語られることの多い「能力」概念の実相を総合的に把握することにある。曖昧にしか表現されない「能力」が、具体的にいかなる振る舞いを指し示す概念であり、それは人々の営みの中でいかに運用されているのかを明らかにすることを課題としている。
そのため昨年度は、本番に近い環境をセッティングし行った模擬面接を動画撮影し分析を行うとともに、採用面接官および学生に事前インタビューおよび事後インタビューも行った。これに加え、当該学生のゼミ担当教員およびキャリア担当教員にもインタビューを行うことで、教員としての当該学生の評価および模擬面接での振る舞いをもとにした学生評価を尋ねた。本年度は、ここで得られた調査データの分析を行うことに専念した。
本来「能力」を判定するはずである面接の場面でも、そもそも「能力」という概念が積極的に用いられるわけではなく、「能力」概念は必要に応じ事後的に構成されている。また、面接における人物の評価は、必ずしも事前に定めた一貫した基準によって行われるわけではなく、その都度の評価する学生によって変化し、またそれを正当化するための論理が構成されることもある。また、学生にとっては同じ評価者という立場である採用面接官と大学教員は、同じ振る舞いであっても評価のあり方が大きく異なることも明らかになった。そこで用いられる論理は、情報の非対称性の大きさや、目的に照らして違わざるをえないものでもある。
今後、このような違いを生じさせる背景や、そこで使用されている論理の論理を、根拠となる具体的な振る舞いと合わせてより詳細に記述することが求められる。そのためには、学生の振る舞いについての評価者を増やし、その違いをより明確にする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

予定していた研究対象企業の採用計画の都合で、当初は2016年度からを予定していた質的調査を2017年度から始めたため、調査研究を遅らせて実施している。また、調査対象および調査設計上の都合から、事例を増加させることではなく、一つの事例をより詳細かつ多角的に検討するよう分析方針を変更し、模擬面接を中心とした調査に計画を変更して実施している。ひとつの事例に対して、複数の異なる立場からの評価を照らし合わせるため、複層的で論理を読み解く必要が生じ、分析が極めて複雑になっている。そのため今年度は、追加の調査を行うことなく、分析に専念することになり、アウトプットや追加の調査を行えなかった。
また、休暇を取得したことも、進展を遅らせている要因である。

今後の研究の推進方策

上記の通り、全行程を先送りすることで対応しており、今後も同様に進める。また、今回の模擬面接をもとに、ケース数を増加させて質的調査の幅を広げる予定である。一つは、取得・分析済みのデータを活用し、評価する人物を増加させる二次的なケースの増加である。さらに、職種を変え新たに模擬面接を行うことによるケースの増加を行うことも必要であると考えられる。
その結果および同課題についてのその他の調査の進展を検討し、量的調査を行うべきかどうかを再度検討したい。

次年度使用額が生じた理由

上述の通り、2016年度に実施予定であった調査が行えなかったため、全体の調査研究の進展を約1年送らせて実施している。これに加え、予想していたよりも複雑なデータ及び分析が必要となったいるため、追加調査および研究成果の発表等のために用いる予定であった資金を、次年度使用分として繰り越している。

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公開日: 2019-12-27  

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