本研究は、「能力」概念がどのような具体的な振る舞いと、いかに結びついているのかを明らかにし、その運用を具体的に検討することを目的とする。そのために、本研究はもっとも「能力」概念が先鋭的に問題となる企業の新卒採用場面に着目し、具体的な材料をもとに質的な調査を行った。 調査分析の結果、採用過程における採用担当者および学生の置かれた状況と、それぞれの論理を明らかにした。両者の複雑な予期構造からなる規範を前提とし、それぞれの合理的な選択の結果として評価基準はより具体化し、複層化する。また、そうした複雑な状況下において、「能力」概念は必ずしも必須の概念ではないことも明らかになった。
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