研究課題/領域番号 |
16K17417
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
片山 悠樹 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (40509882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 専門学校 / 地域労働市場 / 継続調査 |
研究実績の概要 |
平成28年度の成果は、主に2つである。 ひとつ目は、専門学校の地域特性に関する論文の執筆である(論文名「専門学校設置状況と地域特性-『全国専門各種学校案内2015‐16』の分析より」)。具体的には、専門学校の設置状況をめぐる地域特性を把握するため、『全国専門各種学校案内2015-16』とその他の統計情報を用いた分析を行った。その結果、次の3点が見出された。第1に、学科構成の地域的な特性である。大都市を有する都道府県では「文化・教養」系学科が相対的に多く、それ以外の県では「医療」系学科の割合が高い。また、全国的には学生数が激減してきた「商業実務」系学科が依然として存在感を示している地域が一定数確認された。第2に、ところが、そうした学科構成と専門学校進学状況との関連性は不明瞭であった。むしろ、専門学校進学は大学進学や高卒就職といった専門学校外部の状況に規定されている可能性が高い。第3に、専門卒者が従事する産業・職業に一定の傾向を見出した。 地域によって専門卒者が経験する労働市場の傾向が異なり、そこに専門学校の設置状況が影響している可能性を示唆したことは、都道府県別データを用いた今年度の研究成果の意義である。 ふたつ目は、対象校への聞き取りである。次年度以降のアンケート調査実施にあたり、調査依頼を行うなかで、専門学校の状況の聞き取りを実施した。そこで浮かび上がった事柄は、学科・地域による特性、地域移動と職種、自治体の政策と専門学校(奨学金、保育士不足などの関連で)の実情である。これらは次年度以降のアンケートやインタビュー調査の重要な視点になると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、応募時の「年度計画」通り、論文を公表したため、この点は順調であった。 また、次年度以降の調査に関しては、地域(都市/地方)、学科(美容・理容、工業、教育)の観点から調査の依頼を行った。その結果、4校から調査実施の許可をいただいたが、都市の美容・理容系専門学校と、地方の工業系専門学校の調査実施は難しく、その点に関してのみ想定外であった。ただ、応募時のスケジュール(在学時調査と卒後調査の計5回のアンケート調査)で調査を実施することはすべての対象校で可能であり、また調査にかかる費用も計画通りであるため、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
応募時の計画通り、次の日程で調査を実施する予定である(平成29年4~5月:「入学直後調査」、平成30年1~2月:「学生生活調査」その1、平成30年6~7月:「学生生活調査」その2、平成31年1~2月:「進路決定調査」、平成32年2~3月:「学卒後調査」。ただし、1か月程度の誤差の可能性あり)。また、調査依頼時にインタビュー調査の許可も得たため、あわせて実施予定である。 研究の方向性としては応募時通り「能力形成」、「移行プロセス」の2つがメインであるが、「研究実績の概要」で記したように、「地域移動と職種」(地方の専門学校の学生の地域移動)と「自治体の政策と専門学校」というテーマが浮かび上がったため、この点も研究の方向性に付け加える予定である。
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