ひとつ目は、職業教育における知識の性格である。保育者養成系専門学校では学問的知識を基盤に知識が構築される一方、工業系専門学校では市場の影響を受けていた。具体的には、保育者養成系においては、「子ども理解」という保育学領域の専門性が保育者養成系専門学校の知識の正当性の基盤となっていた。一方、工業系専門学校では、消費者への対応が念頭に置かれ、市場の影響の一端がうかがえた。 ふたつ目は、能力形成である。保育者養成系専門学校では、「子ども理解」によって能力の自己認識に差異が生じていた。一方で、工業系専門学校では消費者重視の市場の影響を受け、学生は、技能だけではなく、説明能力を獲得していると考えられる。
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