本研究では、Chandra 衛星などの観測データを用いて、長年の未解明問題であったブラックホールX線連星の円盤風の噴出メカニズムについて、X線の照射による降着円盤のガスの加熱で説明できることを明らかにした。ただし、これは限られた観測データによる結果である。当初の計画では、ひとみ衛星を用いて、円盤風による吸収線をかつてない精度で観測する予定であった。しかし、打ち上げ後1ヶ月で運用を停止し、ブラックホールX線連星の観測が全く実施できなかった。そこで、ひとみの代替機として数年後に打ち上げ予定の XRISM 衛星を用いて、円盤風の噴出メカニズムの問題に最終決着をつけることを目指している。
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