研究課題
本研究は、放射性試料中のアクチノイドイオンに対する分析法として、簡易な分析システムであるキャピラリー電気泳動法を基盤とする超高感度迅速分析法の確立を目指すものである。これまでにない、簡易スクリーニングのための超高感度直接蛍光検出を実現するため、キャピラリー電気泳動法によってアクチノイドイオンを高感度に検出するための蛍光性試薬(蛍光プローブ)を開発するとともに、精密分析のための迅速分取法の開発を目指している。平成28年度は、アクチノイドイオンを高感度に検出するために必要な蛍光プローブを開発するため、金属イオン検出用化学ライブラリーを用いて、配位骨格の探索を行った。平成29年度は、前年度までに探索した配位骨格を用いて、アクチノイドを高感度に検出するための蛍光プローブを開発するとともに、精密分析のための迅速分取法を開発するため、蛍光プローブ錯体に対する大容量注入-濃縮-分離-分取法の調査を行った。平成30年度は、前年度までに開発した蛍光プローブを用いて、開発した手法の適用性検討を実施した。多量の共存元素(マトリクス成分)を含む試料として海水試料、実放射性試料として放射性廃棄物処理施設から採取した放射性廃液試料や福島第一原子力発電所の事故によって発生した汚染水試料を用いて、適用性検討を実施し、本法を適用できることを示した。本研究により、放射性試料中の極微量のアクチノイドイオンを高感度に検出するための新しい分析法を開発することができた。得られた成果は、国際会議等で発表するとともに、投稿論文にて公表した。
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Analytica Chimica Acta
巻: 1032 ページ: 188~196
https://doi.org/10.1016/j.aca.2018.05.077