研究課題/領域番号 |
16K18213
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
太田 尚孝 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (30650262)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドイツ / BID / HID / エリアマネジメント / 公民連携 / 計画制度 / まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究は、平成28年度からの2か年計画でドイツの都市計画分野におけるマネジメント論の歴史的発展経緯や現状での議論の構図の理解、具体的事例としてBIDとHIDの制度体系・整備状況の解明、ハンブルク市におけるBIDとHIDの実践成果と課題の分析を通して、ドイツの都市計画分野におけるマネジメント論の展開と実践面での成果・課題を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、調査課題A「都市マネジメント論の展開」及びB「BID/HIDの制度体系・制度整備」に取り組み、本研究におけるマクロ調査を実施することを目的とした。ドイツの当該分野に関する既往研究やドイツ商工会議所のDBを整理する文献調査を行った結果、以下の成果を得た。 1.ドイツの都市を巡る社会経済環境は再統一後、急激に変化している。大都市では、ジェントリフィケーションと呼ばれるような時に従前の居住者を排除するような現象も生じており、その対策が主要4大都市では実施されている。このような状況も踏まえ、ドイツでは都市マネジメント論がマクロ・ミクロの空間スケールで公民共から議論されている。2.ドイツでは、BIDとHIDが多様な目的を持ち設置されている。これを大別すれば、都心地区でのハード・ソフト整備の追加的拡充、サブセンターでのいわゆる商店街活性化、に類型化できる。このうち、ハンブルク市では既に25のBIDが設置され、HIDもドイツで唯一設置されている。3.ベルリンなどのこれまでBIDの設置には消極的であった都市でも制度設計のみならず、実践に向けた検討が進められており、今後も拡大傾向と理解できる。4.BIDとHIDの実際の運営には任務受託者と呼ばれうる、コンサルタント会社の存在が重要であり、BIDの発展と共に一つの市場を形成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、現地調査の予定がつかず、平成29年度に延期したこともあり、現地での詳細な調査は行えていない。また、これに関連して、研究成果の学術論文等での公表にも至っていない。一方で、マクロ調査の基礎的部分は十分に行えたと判断でき、かつドイツの大都市をめぐる社会経済環境の変化に関する論文の執筆は実施した。そのため、当初計画からは「やや遅れている」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に実施できなかった現地調査を2回予定している。9月に予定の現地調査では、ハンブルク市担当者のみならず、他州の政策担当者にもヒアリング調査を行い、制度的側面を拡充したい。これをベースに学術論文を執筆し、関連学会でのマクロ調査としての投稿を予定している。その上で、冬に予定の現地調査ではハンブルク市を念頭にBID・HIDの事例調査を行い、研究の成果をとりまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では平成28年度にドイツに現地調査を1回、平成29年度に1回としていたが、大学異動という個人的事情も含め、平成28年度に現地調査ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に2度の現地調査を予定している。
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