再生医療では、細胞培養の過程で未分化細胞や形質転換細胞が存在した場合、細胞を生体内に移植後に異常増殖して腫瘍形成(がん化)のリスクが生じる。そのため、腫瘍原性幹細胞を排除する方法の確立は、安全な再生医療ためには必要不可欠である。これまでに正常胎児肝細胞を酪酸ナトリウム(SB)処理することで肝芽細胞へ誘導が可能であり、その培養過程で腫瘍原性肝幹細胞の出現が確認されている。本研究では正常細胞に影響を与えず、がん細胞へ特異的に細胞死を起こすハイブリッドリポソーム(HL)を用いて、肝芽細胞中に出現する腫瘍原性肝幹細胞を選択的に排除することが分かった。今後、再生医療の分野への貢献が期待できると考える。
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