研究課題
若手研究(B)
酵母Hsp104は唯一、不溶性のアミロイド線維を脱凝集が可能な酵素で、構造の異なるアミロイド線維に対して幅広く脱凝集活性を示すが、幅広い基質特異性を示す仕組みの詳細は不明であった。この解明のため、本研究は、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて、脱凝集反応における線維及びHsp104の構造動態の撮影を試みた。結果、Hsp104の脱凝集活性を高速AFM観察で特定はできなかったが、基質として調製したアミロイドタンパクXの凝集過程における構造動態の観察に成功した。
分子生物学
アミロイドタンパクX凝集過程の構造動態に関する知見は、アミロイド病Xは勿論のこと、別のアミロイド病研究にもインパクトが大きい。異なるアミロイド病は、原因タンパクの一次構造も異なるが、アミロイド線維への凝集過程は共有するメカニズムが多いためである。本研究で確立したアミロイドタンパクXの構造動態観察方法は、凝集阻害作用のあるとされる薬剤が凝集のどの反応過程を阻害するか検証することに利用できる。