本研究の目的は、鳥類の多系統群で見られる水かきをモデルとして、形態の収斂の要因をゲノム配列中に見出すことである。まず48種のトリゲノムの比較解析を行い、水かきを持つ種において特異的かつ高度に保存されている非コード配列を多数特定した。また、水かきを持つが系統的に独立した2種(アヒルおよびペンギン)と水かきを持たない種(ニワトリ)の胚の後肢指間部のトランスクリプトーム解析を実施した。これらの結果を照らし合わせ、水かきを持つ種において共通かつ特異的に保存された配列を近傍に持つ、水かき形成に関わり得る遺伝子を複数特定した。本研究によって、形態の収斂進化に共通のゲノム配列が関与する可能性が示された。
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