研究課題
デスクトップ型明視野・蛍光顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など複数の撮像系を用いて、各種オルガネラ・細胞骨格などの細胞内構造の蛍光像を収集した。材料には主としてタバコ培養細胞BY-2ならびにその形質転換体を用いた。また、公開されているオルガネラ・フェノーム研究から得られた画像群についての収集を実施した。共同研究の形で国内の複数の研究機関から細胞の蛍光像(細胞核、細胞膜、色素体)についても別途入手可能となった。また、蛍光ビーズを用いて各種撮像装置の光学的特性を点像分布関数(Point-spread function)の形式で実測した。これらは次年度以降の撮像系固有の光学特性を補正しつつ細胞内の各種形態パラメタを顕微鏡の違いに対して堅牢に取得するソフトウェアの開発に必須な情報である。最後に、細胞の蛍光像を被写体(オルガネラや細胞骨格)の画像上の蛍光パターンとして捉え、ドット状・粒状パターン、膜系パターン、内腔パターン、繊維パターンへのパターン分類を自動的に行う人工知能ソフトウェアの開発を行った。手法としては各画像をグレイスケールかつ32 bit/pixel幅という充分な量子化指数をもつ画像であるとみなし、当画像からテクスチャ特徴と輝度特徴および形状特徴を組み合わせた研究担当者独自に考案した特徴セットを取得、これを集団学習アルゴリズムの一つでハイパーパラメタ探索が不要かつ高速で精度の高いことが評価されつつあるRandom Forests系の学習アルゴリズムの一つである、 Extremely Randomized Trees 法を用いることで高いパフォーマンスを発揮できた。
2: おおむね順調に進展している
初年度の研究計画の内、画像解析戦略の構築のための画像収集は充分な枚数と多様性をもって確保できた。また、例え同じスライドガラスを観察したとしても、顕微鏡や撮影時条件設定の違いなどに起因して生じてしまう画像特性の違いについて、点像分布関数の実測によるアプローチを開始した。さらに、蛍光の空間パターンの違いに着目して得られた顕微鏡画像をオルガネラや細胞骨格など種別に自動的にカテゴライズするソフトウェアの開発を行うことができた。
引き続き、研究室内あるいは共同研究先や公開データベースを駆使した画像収集に務めるとともに、蛍光ビーズから得た点像分布関数と実画像の集合から、従来のデコンボリューション計算のようにボケ軽減とノイズ由来のアーキテクチャとの間で調整を行なわざるを得ないアルゴリズムではなく、フェノタイピングに適した前処理としての画像補正手法の開発という新しい着眼点に立ったアルゴリズムの検討と実装を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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