アブシジン酸(ABA)分解酵素遺伝子を欠失した植物では、極端に種がつかないことに注目し、ABAが関与する種の形成を妨げるメカニズムの解明のため研究を行った。ABAは乾燥や低温などの環境に適応する際に重要な役割を果たす植物ホルモンであるが、花の形成期においてはABAの蓄積が以後の種子収量に悪影響を及ぼすことが知られている。しかし、その逆説的なメカニズムはわかっておらず、本研究は植物ホルモンの適切な分泌時期の重要性の理解につながるだけでなく、植物の環境適応能力が種の形成に悪影響を及ぼす可能性を明らかにすることは、砂漠などの過酷な環境に適応した作物の育種や開発により役立つ情報となることが期待できる。
|