哺乳類は約30億塩基対のDNA(ゲノム)によって生体をコントロールしている。一方で、自身の細胞数を超える規模の細菌が共生しており、宿主の生命活動を助けている。それぞれの細菌が持つ遺伝子の総体はメタゲノムと呼ばれる。本研究では、霊長類のゲノムとメタゲノムがどのように共進化してきたかを探った。京都大学が飼育する約50頭のチンパンジーから糞便を採取し、16Sシークエンシング法によって腸内細菌叢の構成を明らかにし、個体の由来や遺伝子多型との関係を検証した。また、日本モンキーセンターの飼育霊長類や、国内外の野生霊長類の腸内・口腔細菌叢も解析し、種特異性や系統類似性について確認した。
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