研究課題
ゲノムインプリンティングとは、ある対立遺伝子が父親から由来したか母親から由来したかに応じて遺伝子発現の有無が決定される現象の事である。植物では、その生物学的意義やインプリンティングを受ける遺伝子が生じる原因などは、あまり解明されていない。本研究では、アブラナ科植物であるBrassica rapaを用いて網羅的なインプリント遺伝子の同定と、胚乳におけるゲノム全体のエピジェネティックな修飾状態を明らかとすることを目的とした。昨年度は、2組の交配組み合わせから未成熟な種子から胚乳を摘出し、RNA-sequencing法による全ゲノム転写解析を行い、インプリント遺伝子の同定を行った。本年度はさらに4組み合わせにおいてインプリント遺伝子の同定を行った。シロイヌナズナやイネでは100から200個程度のインプリント遺伝子が報告されているが、B. rapaでは全ての系統間においてインプリント遺伝子がそれらよりも多く同定された。また、B. rapaの2系統とその相互交配から得られた胚乳組織を用いてゲノム全体のDNAメチル化状態をBisulfite-sequencingで明らかにした。さらに、公開されているB. rapaゲノム情報からトランスポゾンなどの転移因子様配列を見出し、それらの存在様式とインプリント遺伝子の関係について調べた。現在は昨年度に行った各植物組織における全ゲノム転写解析を用いて、同定したインプリント遺伝子の組織・時期特異的な遺伝子発現とDNAメチル化状態の関連性について解析を進めている。
すべて 2017
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Euphytica
巻: 213 ページ: 28
10.1007/s10681-016-1821-0