研究課題
若手研究(B)
世界各地で森林を構成する樹木の種類が変わってきていることが報告されてきている。樹木の分布が気候などの環境条件で決まるという環境制限を前提とし、地球温暖化にともなう気候変動の影響と理解されている。しかし、種組成を左右する要因として散布制限や負の密度効果も重要である。本研究はこれらにも着目し、その相対的な重要性を、亜熱帯から亜寒帯までの多地点の森林データを用いて検証した。その結果、環境条件が厳しい寒冷で標高の高い地域では、他の要因よりも環境制限が重要であることが示唆された。
森林科学
近年、長期データから森林を構成する樹木の種類が変わってきていることが世界各地で報告されてきている。これらは地球温暖化の文脈で解釈されるが、病原菌等を含めた個体間相互作用や散布制限といった、他の多様性を左右する要因をほとんど考慮していない。本研究のように、こうした複数の要因を同時に検討することは、現実に起こりつつある変化のメカニズムのより正確な理解へとつながる。さらに将来予測の高精度化、気候変動や土地利用に関する政策に科学的根拠を与えると期待される。