肝機能障害を軽減して、ウシの繁殖障害を改善することが、申請者の最終目標である。そのために酪酸の機能活用について検討した。ウシ由来の卵巣顆粒膜細胞で性ホルモン産生に関わる遺伝子は、ウシの血中濃度と同レベルの酪酸(0.25mM)を添加した時に発現が維持された。したがって、酪酸のHDAC阻害効果を引き出すためには、血中酪酸濃度を一定範囲に調節する必要があるかもしれない。一方、最終濃度1.0 mMより高いレベルの酪酸を添加すると、ウシ由来の卵巣顆粒膜細胞で性ホルモン産生に関わる遺伝子の発現が低くなった。このことは、ウシの血中酪酸濃度を過度に高くなると、繁殖成績の低下につながることを示唆している。
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