成熟脂肪細胞の脱分化過程では、アクチン細胞骨格の再編成とともに、細胞質の脂肪滴が消失した。脱分化前後の遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析した結果、脂肪細胞の脱分化および多能性獲得にかかわると考えられるアクチン結合性転写調節因子であるMKL1が抽出された。成熟脂肪細胞の細胞質にアクチンファイバーが形成されると、細胞質のNKL1は核内に移行した。それに伴って、脂肪細胞の分化制御因子であるPPARγの発現が減少した。以上のことから、アクチン細胞骨格の形成によるMKL1の局在変化が、成熟脂肪細胞の脱分化および多能性獲得を惹起することが示唆された。
|